活用できていない農地を最大限に有効活用できるのが、ソーラーシェアリングです。
ソーラーシェアリングは農林水産省が2013年3月に認めた制度です。
ソーラーシェアリングについては以下に詳しく説明があるので、合わせてご覧ください。
ソーラーシェアリングをする場合は、太陽光パネルの下で作物を育てなければならないのですが、
その中で人気がある作物が「榊」です。
というのも、榊は成長に日光をあまり必要としない植物なので、太陽光パネルの下でもしっかり育つことができるのです。
しかし全く太陽光を必要としないわけではありません。多少の日光は生育に必要となります。
この点から「遮光率」を太陽光パネルを設置する前にしっかり考える必要があります。
今回は僕が実際に設置した太陽光パネルはどのくらいの遮光率なのか、
また、遮光率の違いによって、榊の成長にどのような違いが出てくるのか、金額の違い等をご説明していこうと思います!
Table of Contents
遮光率とは
遮光率というのは簡単にいうと直射日光を遮る割合のことです。
遮光率が高いほど光が入ってこなく、遮光率が低いほど光が入ってきます。
ソーラーシェアリングをする(太陽光パネルの下で作物を育てる場合)際にこの遮光率はとても重要になってくるのですが、ソーラーシェアリングではない、普通の雑種地等に設置する太陽光パネルの下では作物を育てないため、遮光率100%でも全く問題ありません。
遮光率100%というのは太陽光パネルの下に全く光が当たらない状態です。
もちろん西日などは多少入るでしょうが、直射日光は入らなくなります。
光飽和点とは
ソーラーシェアリングをする際にもう一つ気をつけなければならないことがあります。
それが「光飽和点」です。
光飽和点とは
植物の光合成において、光の強度が上がると光合成速度が速くなるが、ある強度以上では飽和状態に達し、それ以上速くはならない。その光の強度のこと。
参照元:デジタル大辞泉
光合成をするときの光の強度です。
作物によってこの光飽和点は変わってきますが、その作物の光飽和点を超えてしまう(太陽の光がある強さを超えてしまう)と、光合成をしなくなってしまいます。
植物は日光を当てていればいつでも光合成をすると思っている方も多いと思いますが、
たくさん当てればいいというわけではなかったのです。
お気付きの方もいると思いますが、光合成をしないということは、栄養が供給されなくなるということです。
光飽和点以上の強い太陽光を当て続けると、栄養が植物全体に行き渡らなくなり、葉が焼けてしまったり、最悪の場合枯れてしまうこともあります。
もちろん太陽の光が当たらないと光合成はしないため、枯れてしまいます。
そのため、ソーラーシェアリングをする際、育てる作物の光飽和点はどのくらいなのかということをあらかじめ調べておき、その上で遮光率をどのくらいで設定すればその作物に影響がないのか、またはベストなのか等しっかり計算しておく必要があります。
ソーラーシェアリングでの榊の遮光率は何%がいい?
ソーラーシェアリングの制度ができてまだ10年も経っていないので、この太陽光パネルの遮光率という分野は現在も様々な研究がされています。
しかし、多くの太陽光パネルのメーカーさん、業者さんは、榊の遮光率は大体60%〜80%くらいがいいと各サイトには書かれています。
これまでの経験を踏まえ、遮光率60〜80%が榊の生育に適していたということでしょう。
榊は上記の通り、生育に日光はあまり必要としない植物なので、太陽光パネルの遮光率は比較的高くても大丈夫です。
榊はこのような山の中で育つため、自生している榊もほとんど日光を必要としていないんですね。
遮光率何%にした?
上記の点を踏まえ、僕が太陽光パネルを設置した際に、どのくらいの遮光率にしたのかというと・・・
僕が設置した太陽光パネルの遮光率は81.49%です。
こんな感じです。榊に直射日光を当てないようにしながらも、隙間から日光が入っている状態です。
また西日は完全に当たります。
もともと業者の方が、遮光率90%ほどを提案してきたんですが、上記の通り、多くの業者の方が榊の遮光率は60〜80%ほどを提唱していたので、この数字にしました。
そこの業者さんは90%でいつも提案しているそうです。
遮光率は業者さん次第になってしまうことがあるため、榊でソーラーシェアリングをしたいという方は、
目安である遮光率60〜80%を意識して、予算と相談しながら決めてみてください。
遮光率の違いによるメリット・デメリット
多くの業者さんが榊の遮光率は60〜80%をおすすめしていますが、この20%の差で何が変わってくるのでしょうか。
実は遮光率が高ければ高いほど、太陽光パネルを敷き詰めることができ、より安い値段で太陽光パネルを設置することが可能です。
逆に遮光率が低いほど、足場や架台を増やさなければならなかったり、電線(パワーコンディショナに繋げるワイヤー)も長くしなけばならないなど、余計なコストがかかり値段も高くなります。
そのため初期費用を抑えたいという方には、業者の方は遮光率を高めに設定しがちです。
榊は太陽光をあまり必要としないなら太陽光パネルを敷き詰めてもいいんじゃないの?という疑問もあるかと思います。
しかし榊はある程度の日光は絶対に必要です。
まず日光が十分当たらないと榊は病気になります。
上の記事を読んでいただきたいのですが、太陽光が不足している榊は白藻病という病気にかかるリスクが上がります。
こんな感じに葉っぱが白くなってしまいます。
また光飽和点の時にも述べた通り、光合成がされないと結局枯れてしまいますよね。
90%を超える高い遮光率に設定した場合、榊に十分な日光は当たりません。
そのため、90%以上の高い遮光率の下では、榊はうまく(きれいに)育たない可能性があります。よって、榊をなかなか販売することができず、ソーラーシェアリングが農業委員会に認可されなくなってしまう場合も出てくるかもしれません。
初期費用を抑えたいがために、遮光率を上げた結果、このようなことも起きる可能性があるため、
遮光率は高すぎないようにすることをおすすめします。
榊のソーラーシェアリング時の遮光率まとめ
いかがでしたでしょうか。
榊に適している遮光率は何%ということは、まだ科学的、学術的にはまだ決まっていませんが、
60%〜80%を目安に設定することをおすすめします。
あとは予算との相談ですね。上にも書きましたが、遮光率が低いと見積もりも高くなります。
予算が限られている場合はしっかり交渉し、なるべく80%前後でやってもらうようにしましょう。
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