以前以下の記事で輪紋葉枯病の予防としてZボルドーを使用しました。
数本の榊にはどうやら効果はあったようですが、完全に輪紋葉枯病を予防することができず、
梅雨に入り僕の榊たちに輪紋葉枯病が広がってしまいました。
Zボルドーは基本的に輪紋葉枯病の予防なので、すでに菌がついてしまった木には効かないのでしょう。
輪紋葉枯病の消毒にはベンレート水和剤が有効ということで試すことにします。
今回はベンレート水和剤の榊への使用方法や、状況に応じた希釈倍率等を説明していきます。
輪紋葉枯病とは

輪紋葉枯病はこのように葉っぱに輪紋状の病斑ができ、それが次第に広がっていき葉っぱが枯れ落ちる病気です。
榊はあまり病気で枯れることはありませんが、輪紋葉枯病は榊を枯らせてしまう病気なので必ず対処する必要があります。
今回はベンレートの使い方の記事のため、詳しい輪紋葉枯病の情報についてはこちらをご確認ください。
また、定かではないという場合は、こちらの記事に榊がかかる病気を写真付きで紹介していますので併せてお読みください。
ベンレート水和剤を使用する前やること
輪紋葉枯病にかかっている榊にいきなりベンレート水和剤をかけてもいいのですが、
それでもしっかり下準備した方が感染拡大を防ぐことができ、薬の効きもよくなります。
落葉したサカキの葉っぱの除去

輪紋葉枯病に疾患するとこのように葉っぱが次々と枯れ落ちていきます。
輪紋葉枯病はカビの一種で上の写真を見ればわかるように、輪紋葉枯病にかかってしまった葉っぱには胞子があるのがわかります。
輪紋葉枯病にかかった葉っぱが風で舞い、健康な榊の葉っぱの上に乗るとカビ菌が移り新たに感染していきます。
そのため、輪紋葉枯病に感染した葉っぱを取り除くことが最優先となります。
特に枯れ落ちて枝に積み重なっている葉っぱは風で飛びやすいので感染拡大に繋がります。
薬を塗る前になるべく下に落とすかゴミ袋に入れるようにしましょう。

また輪紋葉枯病に感染した榊の周りはこのように落葉してしまいます。
下に溜まっている感染している葉っぱはできれば取り除いた方がいいですが、
繁殖体は一般的な病原菌の胞子と比べて重いため、
一度落葉した病葉からは繁殖体が大気中に浮遊・分散することはないということですので、無理をして全て取り除くことはありません。
地面に落ちた葉っぱは強風が吹かない限り巻き上がり、健康な葉っぱの上に乗ることはないのでマストではありません。
輪紋葉枯病に感染した枝の剪定
基本的に輪紋葉枯病に感染して落葉した場所から新芽が生えてくることはありません。
そのため予防の観点からも輪紋葉枯病に感染した枝は剪定する方がいいのですが、
全てが全て剪定すべきではありません。

このように落葉してしまっても健康な葉っぱがついており、枝がまだ青くしっかりしている場合は無理に剪定する必要はありません。

このように落葉してしまっても、枝は緑がでまだ生きており、先端からは新芽も出てきているため、剪定対象にはなりません。
ただ、枝が混み合っていたりする場合は、上記のような状況でも積極的に剪定すべきです。

しかし、このように枝が黄色っぽく変色してしまっている枝はすでに枯れてしまっているので剪定すべきです。
またこのような枝が全体に広がっている場合は主幹ごと剪定しましょう。

剪定する場合は、このように斜めに切りましょう。こうすれば雨が降った時に雨水が溜まりません。
また切り口には必ずトップジン等の薬剤をするようにしましょう。
ポイントは以下の通り
枝先等が変色している | 病原菌が枝まで侵入している可能性があるため全て切除 |
落葉したが枝先は緑でしっかりしている | 切らずにベンレート散布のみでOK |
一部の枝だけ感染している | 被害部のみ剪定し、健康な枝は残す |
ベンレート水和剤の状況ごとの希釈倍率
さて下準備が完了したらベンレート水和剤の噴霧に移っていきます。
この時一番重要になるのが希釈倍率です。
ベンレート水和剤を榊に使用する際、おそらく袋には希釈は2000倍と記載されていると思います。
しかしベンレート水和剤の希釈倍率はその日の気温や榊の状態によって変更するべきです。
まず輪紋葉枯病が軽症の場合や、予防目的の場合は2000倍でも問題ありません。
しかし病気がすでに進行してしまっており被害が拡大している場合は1000倍での使用をお勧めします。

例えばこのように半分以上葉っぱが落ちてしまっている榊です。
正直伐採してもいいのですが、薬の効果を確かめたいので今回はベンレートを使用してみたいと思います。
気温が30度を超える時や日差しが強い時は注意が必要。
榊は薬剤に強く、ベンレート水和剤は薬害が起きにくいが、気温が30度以上のときは1500〜2000倍がおすすめ
まとめると以下の通り
1000倍 | 気温が25度以下で病気が広がっている場合 |
1200~1500倍 | 気温が26度〜30度以下、病気が広がっている場合 |
2000倍 | 予防目的及び葉っぱが元気な状態での定期散布 |
2000倍以上 | 気温が30度以上の場合(猛暑日での散布は控えるべき) |
今回僕がベンレート水和剤を散布した時の気温は29度ほどでした。
山の中で曇っていたこともあり気温はそこまで上がりませんでした。
輪紋葉枯病も進行しているため、なるべく希釈倍率を低くしたかったのですが、
薬害が起こることを恐れ倍率は1200倍で行うこととしました。
今回は3Lの噴霧器で1200倍なので1回2.5gのベンレートを使用。

使用するベンレートを測り噴霧器に入れ水を容量分入れれば準備は完了です。
あとは噴霧するのみ。
ベンレート水和剤使用時の注意点
ベンレート水和剤を散布するときに気をつけるべきことは、
自分を守ることと薬害を防ぐこと、散布の仕方です。
一応ベンレートは薬なので体内に入っていいことはありません。
ベンレートを噴霧する場合は、必ず粉塵マスクやマスクを着用しメガネやサングラス等を着用し目も保護してください。
薬害について。
上記で気温が30度を超える日は希釈倍率を高くしたり散布をしないことをおすすめしました。
なぜ気温が高い時に薬害が起きるのかは以下の通りです。
植物の吸収力が高まりすぎる | 高温になると植物の代謝が活発となり、葉や枝が薬剤を吸収しすぎてしまい、細胞が傷つき枯れてしまうことがある |
薬剤が揮発する | 高温だと薬剤の一部が揮発して、植物の表面に濃縮して残りやすい |
薬剤が急速に濃縮される | 散布時に気温が高いと薬剤の水分が急激に蒸発する。薬剤の濃度が高い状態と同じになるため、薬害が起こりやすい |
気をつけなければならないのは夏の時期です。
日中は基本的に気温が30度以上になるため、日中の散布は避け朝早い時間、または夕方に散布することをおすすめします。
ただし西日が強い時も注意が必要です。
ベンレート水和剤は基本的に散布後6時間以上経てばいいそうです。
一度吸収されてしまえば、多少の雨でも流れ落ちないため安心してください。
最後に散布の仕方についてです。
ペンレート水和剤を散布する際は、葉っぱの両面に散布してください。
また枝にもしっかりとかかるように散布してください。
サカキの輪紋葉枯病にベンレート水和剤使用まとめ
いかがでしたでしょうか。
輪紋葉枯病は榊を枯らせてしまう厄介な病気です。
進行も早いので気づいたらすぐに対処する必要があります。
ベンレートの仕様について何かわからないこと等ありましたらコメントしてください。
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